騎士団長の公爵夫人か…。

もしそうなるとしたら私も剣を習った方がいいのかな。

その方がジョシュアと釣り合う夫人になれそう。

強くて格好良い女性って素敵じゃない。



…なんて将来像を想像してみる。






「…様!…皇女様!」



「…っあ、ラナごめんなさい!ちょっと考え事をしていたわ」



ついつい妄想に熱が入って現実から離れてしまっていた。





「そちらにあるマントは見るところ破けてしまっていますけど、お直ししておきましょうか?」


「あ、いいのいいの!これは私が直しておくから!」



私は慌ててマントを手に取って握りしめると、ラナは含みのある笑みを浮かべていた。




「仲がよろしいようで何よりですわ。では、本日は失礼します。お休みなさいませ」


「お、お休み…」




バタンと音が鳴り止むと、私は手に持ったマントを見つめる。
さっきラナは私のことをからかっていたはずだ。
あの笑い方は絶対にそう。



「もう、ラナったら…」



少しため息をつくと私は引き出しから裁縫道具を取り出す。



「これなら1週間もあれば直せそうね」



寝る前に少しずつ進めていけば大丈夫そう。

そう思った私は早速作業に取りかかるのだった。

マントからほのかに香る彼の香りにドキドキしながら…。