その後、私はジョシュアと別れ、用意されていたロイヤルシートへ案内された。
周りには令嬢たちも続々と集まっていて訓練が開始されるのを今か今かと待ち望んでいるようだった。

そして私がロイヤルシートへついたのに気づいた令嬢たちはおしゃべりを止め、挨拶をしに私の元へやって来る。




「皇女様、この前のパーティーではお招きいただいてありがとうございました」

「私、あの場にいられたことが光栄でしたわ」

「皇女様は本日はやはりジョシュア様お目当てですの?」



「ええ、そんな感じね」



令嬢たちはおしゃべりが止まらないようで次々に私に話しかけてくる。
パーティーの時にはエヴァンとジョシュアに公開プロポーズされてしまったので、今や令嬢たちの注目は私の弟たちになってしまった。
そしてあわよくば自分が皇子の目に留まった時のことを考えて私と仲を取り持っておこうという魂胆も丸見えだ。
何だか下心丸見えのビジネス的なこの会話も皇女としての定めなのだろうか…。
そう思うと心を割って話せる同世代がいない私は何だか悲しくなってくる。





「あっ、試合が始まるみたいだわ!」


1人の令嬢がそう言うと、皆は会場に出てきた騎士たちに注目し始める。





「では…始め!」



審判の合図で騎士らは各々の戦いを繰り広げている。
私も実際に実戦を見るのは初めてだから、他の令嬢たちと同じように思わず身を乗り出してその迫力に魅力されていた。