そしてその夜────────



「つっかれた〜!!」


私はまるで吸い寄せられるかのようにベッドへダイブした。
全身を柔らかくて気持ちの良いシーツが包み込んでくれて、毎日の私の至福の一時だ。
自室であるし、もう寝るだけのこの時は皇女らしくない振る舞いをしてもこの時間だけはラナは何も言ってこない。
きっと少しは私を甘やかしてくれているんだと思っている。




「本日は本当にお疲れさまでした。慣れない殿方と共にいるのはさぞ気を使ったのではないのですか?」


そう言いながらラナは私に布団をかけてくれる。



「まあ初日だったから仕方ないわね。でもこれからあのお2人のこと…もっと知っていかないと…いや、知りたいわ」


「良い心がけです。…そういえば皇宮内では既に皇女様方のことが噂になっていましたよ。どちらをお選びになるのか、あとは四大貴公子が皇宮に集まったなど…。特に若い侍女たちははしゃいでいましたね」


「そうだったのね…」



ラナの言葉に苦笑いする。

実は皇宮を案内している時からヒソヒソと何やら話している声は聞こえていた。
そのことだったんだ。




「それと四大貴公子と"宝石の皇女様"と騒いでいる子もいましたよ」


「あーもうそれやめて〜」



私は恥ずかしくなって枕で顔を覆う。
宝石の皇女様とはパーティーの時につけられた私の肩書きみたいなものだ。

私はあんな綺麗な宝石みたいにキラキラしてないよ…。
ただ着飾っていただけなのに…。

今のすっぴん&ラフな格好を見れば誰もが幻滅するよ…。



そういえば…もしエヴァンとジョシュアのどちらかと夫婦になった後、当然すっぴん姿も見せることになるよね。

ジョシュアはありのままを受け入れてくれそうだけど、エヴァンはどうだろう…。

どんな私も受け入れてくれるだろうか。




「皇女様?もうお休みになられますか?」


「…あっ、うん。もう寝るわ。お休みなさい」


ラナの言葉で現実に戻されて、モヤモヤする気持ちのままベッドの天井を見つめる。

眠れなさそうと思ったけれど、今日の体の疲れからかすぐに眠りにつくのだった。