「どうしたのかしらアレックス。いつもと何か違って見えたけど…」


「姉様、あいつのことが心配なんですか?」



そう言いながらアレクシスはぐーっと大きく背伸びをする。
そんな彼からはいつも通りの雰囲気しか感じられない。
呑気にお茶を飲んだり、お菓子を食べている。

双子の兄なのに…生まれた時からきっと誰よりも一緒に過ごしている間柄なのに心配とかしないのかな?




「ええ…何かいつもと違う気がして」

「姉様の婚約の話がこう…胸にグサッときたんじゃないですか?」



そう言ってアレクシスはオーバーリアクションで表現してみせた。




「大丈夫ですよ。もし何かに悩んでいたとしてもそのうち分かりますよ」

「そうかしら…?」

「そういうものですよ。俺が言うんだから間違いないです」




少し腑に落ちない気持ちはあったけれど、私はアレクシスの言葉を信じてみることにした。

もしかしたら公務について悩んでいるのかもしれないし。

オーフェリアの皇太子という立場は、皇女の私なんかよりも大変なものがあるだろうから…。