「…ところで本題なんだが、シャルロット。君は結婚するならエヴァンとジョシュア、どちらがいいのか?」


「申し訳ありませんが、私は結婚なんて全然考えられなくて…」




あの夜のことを思い出すとまた胸がトクンと音を立てる。

エヴァンの熱い眼差し…。

ジョシュアの礼儀正しい態度に、手の甲にされたキス…。


双子たちの幼なじみみたいだし、2人ともきっといい人なんだろうけど、どちらかを選ぶなんて難しい選択だ。




「では2人の求婚に首を振るかい?」


「そっそれは…」




あんな求婚をされてあっさり断るなんて失礼だと思うし、でも今の私にはやっぱり片方を振るなんてできない…。




「実はこの机にあるものはほとんどがシャルロット宛の文なんだ。他の令息からもたくさんの求婚状がとどいている」


「そうなんですか!?」



私は驚いて思わず机の紙を手に取ってみる。
…確かに様々な貴族たちからの手紙の数々だった。
実際に話したこともないはずの人達なのに、私が皇女だからという理由で求婚してきたのだろうか…。




「お父様…婚約者はすぐに決めないといけませんか?」


「そうだなぁ…皇帝としてはなるべく早く決めてもらうのが嬉しいんだが…父親としては少し複雑だなぁ」



ははっと少し困ったような表情でお父様は笑った。


お父様の負担にならないような、そして私自身も納得できるには…。



「シャルロット…?」



私は眉間に皺を寄せながら必死に考える。


…そしてある1つの案が浮かんできたのだった。