そして次の日。
薬を飲んでゆっくり休んだおかげか体調は万全に治っていた。
ラナは無理しないように大事を取ってもう少し休んだ方がいいと言っていたけれど、病み上がりだから今日の予定はお父様との件しかない。
私は簡単に身なりを整えてもらうとお父様のいる執務室へと向かった。




「お父様、シャルロットです」


軽くノックすると入りなさいと声が聞こえたので、ゆっくりと扉を開ける。

すると真正面にはお父様の姿があった。
さすが皇帝の仕事部屋なだけあって様々な資料などがあちこちに山積みにされている。
しかしきちんと整理整頓されているようで綺麗に並べられているのを見るとお父様の力量が分かるようだった。



「もう風邪は治ったのかい?見舞いに行けなくてすまないね」



先程まで机に置いてある大量の資料のようなものに難しそうに目を通していたが、私を見るなり優しい顔に戻ってそう尋ねる。




「はい。ご覧の通りもう大丈夫です。お見舞いなんてそんな…ただの風邪でしたから!…ご心配おかけして申し訳ございません。あと、パーティーの時にも倒れてしまって…」


私は丁寧に腰を折って謝った。
大事な大事なパーティーだったのに私のせいでたくさん迷惑をかけてしまった…。




「はは。その件なら問題ない。それに初めての社交界であの2人に一気に求婚されるなんて混乱もするだろう。ルイーズが何やら嬉しそうに騒いでいたよ」


「あはは…お母様が」



お母様がどんな様子だったのか容易く想像できてしまった。
お父様に対して子どものようにきゃあきゃあとはしゃいでいたのだろう。