重厚な扉の前に立っていると、お父様の声が聞こえてくる。
私たち家族の前で話す時と違っていかにも皇帝らしい威厳に満ちた声色だ。
そう思うとお父様含め皇族がこうやって公の場にいる姿は初めて見るかもしれない。


「…姉上、そろそろですよ」

「あっ、うん」

お父様の声に耳を傾けていて少しボーッとしていたところにアレックスが声をかける。


するとすぐにお父様の声は聞こえなくなり、代わりに盛大なオーケストラの音色がこちらまで響いてきた。



さあ、いよいよだ──────。



私の…社交界デビュー──────!