「そうそう、大事なことを忘れていたわ。…あれを」


「かしこまりました」


ふと思い出したかのようにお母様は後ろに控えていた侍女長を見やると、彼女は豪華な箱をお母様に手渡した。

そしてその箱を大事そうにゆっくりと蓋を開く。



「シャルロット、少しかがみなさい」


「はい…」


何だろうと思いつつ、言われるままにすると何かが頭に刺さる感触があった。



「…いいわよ。鏡を見てご覧なさい」


私は立ち上がる時に少し頭に重みを感じつつも、鏡を見つめる。



「…っ!お、お母様、これは…!」



どうりで頭が重いと感じるわけだ。
今までたくさんの宝石をつけてきたけれど、これは何物にも変え難い貴重なものだと一目で分かる。



「それは代々オーフェリア帝国の第一皇女にしか受け継がれていないティアラよ。今日から正式にあなたのものよ」



代々受け継がれてきたティアラ…。

ダイヤモンドがふんだんに使われていて普通のティアラなんかよりも違って、まさしく皇室の伝統を感じるものだった。

今日この日に私に渡されたということは、一人前の皇女としてお母様に認められたということになる。
そう思うと更に身が引き締まる思いがした。
このティアラも絶対大切にしなければ…!



「お母様、私オーフェリア帝国の皇女として恥じぬよう今日1日…いえ、これからも精進致しますわ!」



皇宮に来てから今まで頑張ってきたんだもの。

まずはこの日を成功させなくては。

そしてパーティーが終わってからはますます…。


気合いばっちりで応える私にお母様は優しく微笑んでくれるのだった。