「わ、悪かったわラナ。ごめんなさい…。次からは絶対こんなことしないわ!どこかへ行く時も誰かを連れていくようにするから…」


久しぶりのオフだからって油断していた。
座学でも、大陸を統べる大帝国唯一の皇女とはどんな存在なのか散々教えられてきたはずなのに…。
私としたことが浮かれて知らないうちに昔の自分に戻ってしまったのかもしれない。


「確かに皇女としての行動ではなかったわ。本当、反省してるからラナも気を悪くしないで…ってえっ?」


私はぎょっとしてラナを見やると、彼女はぽたぽたと涙をこぼして泣いていた。
ついさっきまでは怒っていたと思ったのに一体どうしたんだろう。


「…この涙は安心した涙です。それにしても本当にご無事で良かったです…。私もつい感情的になってしまいました。申し訳ございません…」


そう言って丁寧に頭を下げるラナ。
泣くほどまで心配してくれていたなんて悪いことをしてしまったなと私も一緒に反省するのだった。



気を取り直して穏やかなティータイムを過ごす私たち。
ぽかぽかとした春の陽だまりに合う、程よい熱さの紅茶。
やっぱりラナの淹れるお茶は格別で最高だ。
ふとティーカップを見ると太陽の光に反射して、キラキラと光の粒が入っているように見える。

まるであの黄金の木が輝いていたよう…。