そして何とかアレックスとも1曲踊り終わると身体もだけど精神的にも既にヘトヘトだった。

2人と踊れたというだけで今日は神様も褒めてくれるだろう…。



「2人とも、今日はありがとう。おかげで何とか形は掴めたわ。あとは実戦…あるのみね…」


語尾に向かって思わず段々声が小さくなってしまう。
この私が他の男性と優雅にダンスする姿が想像できないからだ。


「実戦って、戦に赴くわけじゃないんですから」


そう言ってアレックスはくすっと笑ってくれる。

だけどアレクシスは顎に手をあてて神妙な面持ちでいた。



「…いや、姉様にとっては戦場に行くようなものだよ。まずは男に慣れるところから始めてもらわないと」



「そうよね…まずはそこから…って!アレクシス気づいてたの!?」



私が1番気にしている部分を直でつかれてドキッと大きく心臓が跳ねた。



「図星ですね。実は…悔しいですけど、俺もアレクシスと同じことを思ってました」


「アレックスまで…!」


弟2人に既に見透かされていたなんて姉として情けないし、見破られたのがものすごく恥ずかしい…!

…でもここまで知られてしまったならもう隠しても意味無いだろう。

私は大きくため息をつくと脱力しながらイスに座り込み、男性に免疫がないことを認めた。



「仕方のないことですよ。森での生活ではほぼラナとしか過ごしてないのでしょう?」


「俺だったら姉様みたいに皇宮の中の人とも仲良くなれないな。この1ヶ月で。俺が姉様と同じ境遇だったら男と仲良くするなんて信じられないよ」



驚くことに双子たちは私のことを笑いもせず同情してくれたのだ。
思い切って2人に打ち明けて良かったのと、この2人が弟で良かったと初めて思った瞬間だった。

将来この大きな帝国を背負っていくアレックスと、次期皇帝補佐のアレクシス…。

初めて会った時はいきなり姉弟ができてびっくりしたけれど、向こうからも親しげに話しかけてくれたりしてやっぱり同じ血が流れているのもあるのかすぐに仲良くできたもんね。

今日のことでまた1歩、姉弟として親しくなれたかな…。