「そうだ!そういえばラナに褒美を取らせるってお父様が話していたわ。ラナは何が…」


「その件でしたら既にいただきましたよ」


「えっ?」


つい先程の話なはずなのに展開が早くて驚いた。ラナに限って大金をもらうとか生々しいものではないと思うし…。


「ねえ、何を貰ったのか教えてくれない?」


「それは…皇女様専属の侍女になりたいと私から申し上げました。それと、恐れ多くもこの皇宮の侍女副長の立場をいただきました」


「ラナ…!」



まさかそんなことを考えていたなんて…。

確かに侍女副長に任命されるのは当然というか、その通りだと思う。
今まで皇女である私を1人で守ってくれたんだから…。
ただ私の専属の侍女になりたいだなんて、赤ん坊の頃から散々お世話になっているのに皇宮に戻ってからも私のお世話をかって出るなんて…。



「本当にそれでいいの?私はもう普通の女の子には戻れないし、これからいろいろと大変なことも起こるだろうし…」


「私が皇女様と一緒にいたいのです。それとも私では不服でしょうか…?」


「そんなことないわ!むしろラナとまた一緒にいられるなんて大歓迎よ。…皇女になった私でも…これからもよろしくね」

「はい、こちらこそよろしくお願い致します」


またラナといられる時間が増えるんだ…。

そう考えたらこれ以上の幸せはない。

だって知らない人だらけのこの皇宮で今は誰よりも心強い人なのだから。



「もう遅いので今日はゆっくりとお休みになって下さいね」

「そうね。今日だけでいろんなことがあったから疲れちゃったわ。…それじゃあラナ、お休みなさい」

「お休みなさいませ、皇女様」


ラナがそう言って部屋の扉を閉める前、私はハッと思い出したことがあってベッドから飛び起きる。


「ラナ!侍女副長、おめでとう!」


私がそう言うとラナは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐ穏やかな笑みを浮かべた。


「ふふっ、ありがとうございます」



良かった咄嗟に思い出して…。

侍女副長なんてすごい出世なんだし、おめでたいことよね。
お祝いの言葉くらい言わないと。

私は安堵してふぅ…と一息つくと広いベッドに横たわる。
初めての私の部屋で寝る心地は、ふかふかの枕に、綺麗に敷かれたシーツによって幸い眠気はすぐにきてくれてすやすやと眠りに落ちていくのだった。