季節は巡りて春がやってきた。

この時期になるとオーフェリアへやってきた1年前を思い出す。
あれからもう1年かと思うとこの1年、いろんなことがあった。

私の生活も大きく変わった。
毎日必死でレッスンに勉強に励んだ日々…。

皇女として1年でどれぐらい成長できたのか分からないけれど、それでも私がオーフェリア帝国の皇女だという自信はある。



…でもその皇女として過ごすのもあとどのくらいなんだろう…。



皇太子であるアレックスの結婚式も間近に控えているし、それによってロレッタ様が皇宮にやってくる。

私が皇女として務める役目も残り少ないのかもしれない。




…何より心に決めた人ができたのだから。






そしてそれによって私は1人に謝らなければいけなくなった。
その人物の元に向かう足取りは重いドレスを着ている時より遅い。

でも、それでもちゃんと直接伝えなくては…。






「姉様?そろそろ始まりますよ。どこに行くんですか?」





そう。
今日は私と双子たちの合同誕生日パーティーの日。

アレックスの結婚式も近いので、誕生日の近い私たちは合同で行うことになったのだ。



だけど主役である私が向かう先はパーティー会場の真逆。
だからアレックスとアレクシスは不思議そうに私を見つめる。




「エスコートには間に合うように戻るわよ」




そう伝えると廊下のかどである人物とすれ違う。