次の日、早速私は庭園の丘にエヴァンを呼んでいて、彼が来るまでそわそわしながら今か今かと待っていた。

昨日ラナが話してくれたことが違かったらどうしよう…なんて不安も考えながらいると、遠くに人影が見えた。



私は咄嗟に後ろを向いて、彼が近づくのを待つ。






「シャルロット?」





私を呼ぶ声に振り返ると、にこりと笑いかけてこう言った。








「一緒に遊ぶ?」








エヴァンがあの時のことを覚えているか分からなかったけれど同じように話しかけてみる。




すると彼は昔の頃と同じように少し驚いた顔をして私を見つめていた。





「シャルロット…もしかして…」




「うん…!夏の日に話してた金髪碧眼の女の子は私でしたー!…なんちゃって」






えへへと照れ笑いをする私にエヴァンは勢いよく抱きしめた。


まるで私という存在を確かめるかのように…。






「俺もずっと考えていたんだ。シャルロットの生い立ちを聞いてからずっと…。幼い頃出会ったのはシャルロットなんじゃないかって。やっぱり…本当だったんだ」




顔は見れないけれど、嬉しそうに話すエヴァンが思い浮かぶ。




「あの時名前を言ってくれれば忘れることなんてなかったかもしれないのに…」


「仕方ないだろ。言う前に父さんに連れていかれたんだから。…それに馬車の中で自分の名前、何回も何回も叫んでいたんだ」





そっか…。

あの時必死に何かをしゃべっていたのはエヴァンだ、って叫んでいたんだ。




でも聞き取れればよかったのに…と後悔する気持ちはすぐに消えた。




だって今こうして改めてエヴァンと再会できたんだから…。





私は彼の温もりを感じながら腕を背中に回す。


彼の身体の隙間から見えた地面には、私の心の雪解けが始まったかのように小さな花が覗かせていたのだった。