「あの…もし話せないようなら無理に仰らなくても…」


「いっいいえ!そのようなことはないのですけれど、こんな話していいものか…」



恥ずかしさの方が勝ってしまって思わず苦笑いしてしまう。




「私に話せることはぜひ仰ってください。未来のお義姉様ではありませんか」


「あはは…確かにその通りですわね」





春にはこの皇宮で一緒に暮らす家族になる彼女だ。
ロレッタ様も私に好意的に接してくれているし、壁をつくらずに気軽に話してもいいかもしれない。


私は深呼吸を1つしてから彼女の目を見つめて口を開いた。






「実は…相談というのは私の婚約者候補である2人のことなのです…」


「エヴァン様とジョシュア様のことですか?」


「はい…私もそろそろ2人のどちらかを選ばないといけない時期になりまして、未だに迷っているのです。2人のことはどちらも好きですし、それぞれの良さもあって選びきれなくて…」





気恥ずかしくて段々声が小さくなる私にロレッタ様はふふっと微笑んだ。







「皇女様、お2人に恋をされていますか?」






「恋…?」






首を傾げる私にロレッタ様はどこか懐かしそうに遠くを見つめる。





「私はアレックス様に恋をしています…。一緒にいるだけでドキドキして胸が苦しいのですけれど、それが何だか心地良くて。…好きという感情にもいろいろありますでしょう?家族愛だったり、兄弟愛だったり…。そのどれでもない不思議な感情がアレックス様にはあります。…私の場合はお互いの一目惚れですので皇女様の参考になるかは分かりませんが…」




「ロレッタ様…」