それから数日後────────

晴れの日が続いていたせいか雪で覆われた地面が見えるようになった頃、1つの豪華な馬車が皇宮内へと入っていくのが見えた。
だいぶ馬車もスムーズに進めるようになったのだろう。
誰がやってきたのかはすぐに分かった。
楽観的に見ていた私だったが、なんと用があるのは私だったらしくて、急いで身なりを整え応接間へと向かう。






「お待たせしました、ロレッタ様」


「いいえ、急にお呼びして申し訳ございません」





いつもはアレックスと過ごすはずなのにどうしたというのだろう。

私は疑問に思いつつも彼女の向かいのソファーに座る。





「急にお呼びしたのは理由がありまして…。実はアレックス様にお願いをされたのです」


「アレックスがですが…?」





一体何をお願いしたというのだろう。
アレクシスと違って変なことは言わない子だけど…。





「はい。失礼になったら申し訳ございませんが、最近皇女様の様子がおかしいとアレックス様が仰るので相談に乗ってほしいと」





その瞬間、危うく口に含んだお茶を吹き出しそうになる。

アレックス…!

自分のことでいっぱいいっぱいなはずなのに変なところで気が利くんだから…。



相談というのはもちろん婚約者候補であるエヴァンとジョシュアのことだ。

ロレッタ様であればいずれ私の義理の妹になるわけだし、同じ年頃の女性なのもあって、話せるような気がするけど迷惑じゃないかな…?

こんな時期に私の事情を挟むなんて。



私がそう考えながら黙り込んでいるせいか、ロレッタ様は心配そうに見つめてくる。