失礼かもしれないけど、犬みたいだった。純粋っていうか。すごく深くて黒い瞳に映るものすべてに傷ついてしまいそうでさ。 「なにも言えないから俺、すぐに降りたんだけど。それからあんまり忘れられなくてさ」 寿人は照れたように笑う。 「自分でいうのもあれだけど、俺って結構もてるのよ。知ってた?」