コンテナの山の頂上で僕とラプラスは同時に目を覚ました。

壊れた天井から見える空には星が瞬いている……あれからどれくらいの間倒れていたのだろう。

「生きている……始君が生きている……!」



ラプラスはしばらく僕を茫然と見つめた後、突然抱き着いて泣き喚き始めた。

「いたたたたたッ! ラプラス頼むから離れてくれ全身が痛いッ!」

「だって……さっきまで死にそうだったから……ぐすっ……」



何とかラプラスを引きはがすと、僕は少し呆れた口調で言う。

「そういうラプラスだって、イメージの中とは言え無茶し過ぎだよ。アリアがいなかったらどうなっていたことか……」

「アリア? お姉ちゃんがどうかしたの?」



キョトンとラプラスが小首を傾げる。そうか、意識を失っていたからアリアを見ていないんだった。

「ううん、何でもない。とりあえずここから降りよう」



説明しようにも話がややこしくなるし、今はとてもそんな気力はない。

ラプラスは少し疑うような眼差しを向けたが……その時、ハッと目を見開いて耳元のインカムに手を当てた。

「ラプラス? どうしたの?」

「何故か分からないけど、システムとの接続が回復した」

「それは良かったじゃないか! これでまた予知が使える様に――」

「うん……そしてたった今、その予知が見えた」



彼女は顔を上げ、深刻な表情で告げる。



「五分後……この工場は歌姫と『システム』の戦闘員に完全包囲される」