知らなかった。たった1回お父様の言いつけを破って部屋の外に出た事がある。その時にこの男の人に見られてしまっていたのだ。

だから、その後から私への見張りの人数が増えた。

あー、もう終わりだ。このまま牢に入れられ、拷問され、殺されるんだ。

「泣かないで」

そう言って彼は私の頬に流れるものを拭き取った。そこで初めて自分が泣いていることに気がついた。

「俺は、君を悲しませたい訳じゃない!
君を助けたいんだ!」

「助ける?」

「うん、君を苦しめている物から助けたいんだ、
だから話て 俺を信じて」