でも昨日、彼女が小さな身体をブルブルと震わせながら、何度も「殺さないで、殺さないで」
と懇願する姿を見て俺はどうしても彼女を苦してめいる物から守りたいと思ってしまったんだ。

だから分からないと答えた彼女に問い詰めることは出来なかった。

「確かに支配人は、そういったが、だからといってそれが本当かも分からない、本当に何も知らない可能性だってあるんだ、だから、もう少し様子を見よう」

「それで、トリトン男爵と繋がりがあったら?」

「その時は、俺がこの手で始末をつけるよ」

そうならない事を願いつ書斎へと足を急がせた。