王太子の愛


「わ、わたし、あの、」

なにか喋らないと殺される。
そう思って喋ろうとするが震える口では、上手く話すことができない。

「落ち着いて、ゆっくりでいいよ、名前は?」

オルレイン様が優しく聞いてくる。

「く、クラウスです」

やっとの思いで自分の名前を口にした。

「クラウスね、ごめんね、君はここで売られて人達の中の唯一の生き残りなんだ。」

一瞬で身体からねつが奪われたように寒気を感じた。

「他の子達はみんな、買った奴らに騎士たちを足止めとして出されて死んじゃった」