すっかり涼しくなって、体は夏の暑さを忘れてしまった。グラウンドで練習する運動部は、「夏よりマシ」と言いながら練習に励んでいる。もちろん、俺だって。

「よし!次は体幹作りトレーニングだ!」

顧問の先生の指示に従い、俺たちはバットの素振りをやめる。俺は野球部に所属している。土日も練習試合が入ることが多く、水曜日しか休みがない忙しい部活だ。

俺の高校の野球部は、甲子園に何度か出場したことがあり強豪校の分類に一応所属しているだろう。そのためか、中学の時とは比べ物にならないほど練習がキツい。

素振り、体幹作りトレーニングはいつも練習前には必ず行われる。試合だってテンポよく何度もする。休む間なんてほとんどないくらいだ。

でも、これは全て甲子園に行くためのもの。練習なしに誰も立派な甲子園という舞台には立てない。だから、どんなにキツくたって練習を投げ出したりしないんだ!

俺がこの高校に入学した理由は、甲子園で会場を白熱した試合で湧かせた先輩たちの試合をテレビで見たからだ。俺も、あの舞台に立ちたい。