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「おい、起きろ」
誰かに頬をぺちぺちと叩かれて重い瞼をうっすら開けると、そこは見知らぬ光景が広がっていた。薄暗い……倉庫と呼ぶには小さい気がしたが何かの物置小屋にしては大きさがあるような…
さっき嗅いだ異臭のせいか鼻がまだ麻痺しているって言うのにカビや埃の臭いがほんのわずか漂ってきた。うつろな目で辺りを見渡すと、木材やら何か分からない機械なものが乱雑に転がっている。何かの作業場だろうか。
ここが今現在稼働しているのか、それとも廃業しているのかまで分からない。
頭が重い。さっきの変な薬のせいだろうか。
のろりと顔を上げると、ギィと出入口の扉が開いて眩しい程の光が入ってきた。思わず顔を背ける。
「エリナ!」と声を張り上げたのは、覚えのある淫行コーチの声……?
「……エリナ…じゃない。お前!何でここにいるんだ」
「それはこっちが聞きてーよ。てかてめぇに”お前”呼ばわりされたくねんだよ」と逆光になってるから顔までは判別できなかったけれど間違いなく淫行コーチだ、そいつに向かって悪態をつくと、近くに居た男があたしの頬を平手打ちした。
「…ってーな!」
蹴りの一発でもかましてやろうかと思ったが、あたしはどうやら椅子に座らされていて、両腕、両脚をロープで縛りつけられていることに気づいた。
薬のせいか力もでないし、これじゃ身動きできない。
「何だ、新垣 エリナの方じゃなかったのか」とあたしの近くに居た男があたしの髪を引っ掴みぐいと顔を上げさせられる。
「あんたが可愛い、可愛いって言うからこっちかと思ったけど」
「あんときは二人居ただろ?もう一人の方だったんじゃねぇか?あっちも可愛かったじゃねぇか、ガキにしちゃ」
男達が話し合っている。
「まぁいいや。こいつを人質にとって新垣 エリナを呼び寄せるから心配なさんな」とコーチの近くに居た男がコーチの肩をポン。
人質?あたしが、んな簡単にやられるタマじゃねーっつの!
でも薬のせいで体が言うことを聞かないし。薬が切れるまで何とか時間稼ぎしなきゃ。
と思ってるところで
「こんにちはぁ、ここに龍崎 朔羅さんてお嬢ちゃんがいてはるって聞いたんやけど」
どっかで聞いた声が聞こえて、あたしは今出るだけの力を振り絞り、顔を戻した。



