洗面所に向かったあたしは冷たい水で顔をバシャバシャ。
何やってんだ、あたしは!女優さまに朝ごはんを作らせて、しかもその女優さまはこれから仕事だって言うのに。
洗面所から戻ると、今度はリコが洗面所に向かっていき、エリナは小鳥のような可愛らしい欠伸を漏らしながら帰り支度をしている最中だった。
あたしは昨日の夜あらかた帰り支度したから、やることはほとんどない。皆を起こしに行こうと部屋を出るとキモ金髪と千里はすでにリビングにいてそれぞれ欠伸を漏らしながらリビングの片づけをしていた。
戒は―――まだ寝てるのか。
まぁ、しゃぁないよな。これまでいつ脱獄犯が襲ってくるか分からない状態で起きてたことが多かったし。流石に昨日は爆睡だな。
てことは起こすのも大変ってことだ。
戒の部屋をノックして
「戒~、朝だよ~」と一応声を掛けてみるも、布団にくるまって寝ているであろう戒はぴくりとも動かなかった。
「戒、朝」と布団をちょっとめくると戒は案の定起きる気配がなく、ぐっすりねんね中だ。
幸せそうに口の端を上げて、一体何の夢見てんだよ。どーせまた寿司でも食ってる夢でも見てるに違いねぇ。
だけど
「朔羅、すっげぇ好き」
て言葉を聞いてボッ!あたしの顔が熱を持った。
ゆ、夢であたしの夢を見てたの!?
思わず同じ布団に入り込みたくなったが、いかんいかん。
「戒!朝だってば!みんなもう揃ってる」と布団の上からゆさゆさ。
これには流石に戒もうっすらと目を開け、「朔羅?」と寝ぼけ眼で聞いてきた。
「おう、朝だぜ。早く起きろよ」と言うとほぼ同時腕を強引に引っ張られ、またも布団に引きずり込まれる。
このパターン何回目よ。
「おい!起きろ!早くしねぇと電車の時間とか…」と言っているうちにキョウスケがノックもなしに部屋に入ってきた。
「キョ、キョウスケ!助かった」と言う視線を向けるとキョウスケは無言で戒の腹辺りを踏みつけた。
「い゛っ!」
戒がその衝動で起きだしてきた。
「朝から何サカってるんですか。もうみんな揃ってますよ。戒さん待ち」とキョウスケは冷たく一言。
「それにしてもなぁ!起こし方ってもんがあるだろが!」
「戒さんが優しく起こされるタイプですか?」キョウスケが不機嫌そうに腕を組む。
「じゃーお前はイチに優しく起こされるタイプなんかよ」
か、戒!!
「俺は大抵一結より早く起きるので、その必要はありません」
「あそ」
ぷいと顔を背けた戒。よっぽど夢の中が楽しかったようで無理やり起こされて不機嫌に拍車が掛かっている。



