―ドンッ

後ろの方で大きな音がした。


恐る恐る振り向いてみると先ほどの男は地面に倒れていた。



「愚かしい奴だ…ヴアンパイア界の掟を破る気か?…まぁ、守る奴などいる訳ないか」



声がする方を見た。

その瞬間…時が止まったかと思った。


漆黒の襟元くらいの長さの髪は風に靡いてサラサラとゆれている。

赤みがかった瞳は吸い込まれそうなほど美しかった…



「貴様は……クッ…」



先程の男はそれだけ言うとスッと消えてしまった。