私に向いたおじいさんの視線は警戒心を持った目だった。


「父上、紹介します。父上が聞いたという子です。実は──」


松さんはおじいさんに私が話した事を説明した。


最初は信じられない、とでも言うような目で話を聞いていたのだが、次第におじいさんの目は真剣味を帯びていって。


おじいさんは私に向き直ると力強い目で言った。


「娘。そちが帰る道を見つけるまでこの躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)に住むことを許可する」


え?


「ありがとうございます、父上」


松さんはおじいさんにぺこりと一礼したのを見て私も慌てて頭を下げた。