俺のボディガードは陰陽師。




…でも、そんな『相変わらず』も、今の俺には平穏であることの証拠であって。

こんなやり取りだって、許せてしまうんだ。



ここでは、俺は『一人の男子生徒』で。

親父や兄貴が常に周りに付きまとうことなんてない。

…あんな世界なんかより、全然良い。





「そういや昨日のゆうなみ常務の動画見たか?」

「見た見た。きこりんのコーナーだったな。きこりんと道の駅へ行く!だろ。コーナーコラボ」

「ダチの娘、自分の番組登場させるとかウケんだけどー」

「今度あの道の駅行ってみね?」

「行く行く!…俺と伶士であの写真と同じポーズで写真撮るわ!」

「マジ?大丈夫かあのポーズ」



昼休みだって、食堂で気取った話をしながら高級なランチセットを食べるのではない。

教室で、友達と笑いながら母さんの手作り弁当を食べる。

俺は、忠晴の作った弁当だけど。母さんがキッチンに立ってるの見たことない。




でも、俺にはこっちの方が全然良い。




「次、化学の授業だろー?移動?」

「もう時間だから行こうぜー」




(あんな世界なんかより…)