俺のボディガードは陰陽師。




ったく。

過保護すぎんのも、いい加減にしろよ。

俺だって、もう高校生なんだ。



親父がいなくちゃ何も出来ない…ことはない。



それに、何が陰陽師だ。

昨日は親父の勢いに押されて会ってみたけど。

出てきたのは、霊能力者を彷彿させるような坊主や神主や巫女ではない。

美容師風のイケメン兄ちゃんと、高校で有名なギャルが出てきて、探偵気取りで取り調べをしていっただけだろ。




何がお祓いだ。

こんなの、茶番劇だ。




忠晴に学校の裏で降ろしてもらって、裏口から学校に入り、グランドへと向かう。



「おーっす、伶士。忠晴の車、外車だから目立ってっぞ。今度からパン屋の裏で降ろしてもらえ」

「と、瞳真くん!…しっ!」


グランドに到着した途端、後ろから急に話し掛けられ、しかもみんなに隠していることを普通の会話で口にされて、思わず慌ててしまう。


「何だ。まだナイショにすんの」

「…一生、内緒!」

「なんだ。まあいいや。…そうだ。おまえ昨日男子生徒助けたの?」



俺が男子生徒を助けた…?

…と、言われて頭に浮かんだのは、昨日体育館の裏でボコボコにやられて倒れていた男子生徒のことだった。