俺のボディガードは陰陽師。




中学の時から、成績も学年トップでスポーツもそつなく何でもこなせる兄貴。

英文の弁論大会や、研究発表、スポーツでは陸上、空手、乗馬、射撃…何をやらせても必ず『一番』の賞を取って。

芸術面でも斬新なセンスを打ち出しまくりで、芸術科の先生からも評価されるほどの才能があって、こっちの方面でも賞を取っていた。

昔から何もかもが『一番』。

有り余る才能で、二十歳という若さながらも、親父の仕事の企画の提案もしている。

今も、二人で書斎に消えたのは、これから仕事の話をするんだろう。



そして、兄貴は…人とのコミュニケーション能力も高くて魅力もあり、人望も厚くて、女からもモテるだけではなく、男の友達、知り合いだって多い。



…俺とは、違って。



それに加えて、顔面偏差値も身長も敵わない。

俺がどんなに頑張ったって、勉強もスポーツも…恋愛も。



完璧すぎるハイスペックな兄貴には、何もかも敵わないんだ。

そして、両親だってそんな兄貴には期待している。

『一番』が取れない、出来の悪い俺なんかよりも。




(………)



いつからだろう。

『嫉妬』という、こんなにも真っ黒い感情を腹に抱えるようになったのは。