すると、林崎先輩は辺りをキョロキョロと見回して、「ちょっと!」と俺を隅の方まで引っ張る。

何?何?と椎名先輩も着いてきた。



「…あのさぁ」

「な、なんすか…」



そして、小声でひそひそ話が始まる。

その内容はビックリさせられるもので。



「…俺さ、結局莉緒とは別れた」

「…えぇっ!」

「だってさ?彼氏いるのに他のイケメンとヤッたって自慢する女だぜ?…あの後よくよく考えたんだけど、女としてねえなって思っちゃってさ?」

「は、はぁ…」

「だからよ?それを気付かせてくれた橘にはどうも!みたいな?反省してねえみたいだから、きっとまた同じことするだろうしな?それは俺も不幸せってわけよ」

「はぁ…」

「俺だって幸せでいたいし。だからやめた!…てなわけで、橘には気付かせてもらって感謝。サンキューな?」



感謝って…。

こんなこともあるんだ…。

悪いことしたのは俺なのに…。



すると、椎名先輩は「むふふ…」と、笑っている。

「じゃあ、林崎合コンするべ!…あ、橘くんはごめん!イケメンに全部持ってかれても困るし!」

「はぁ…」

いや、誘ってもらっても行きませんけどね。