…ここが、この学校生活が俺の幸せの場所だけど。

そんな幸せの場所でも、真っ黒い感情を腹に抱えながら過ごすよりも。

それを全て手放して、まっさらな気持ちで過ごした方が、断然良いに決まってる。



本当の幸せとは、奪うでも与えるでもない。

気が付けば、そこにあるもの。

自分で…見つけるもの。






久々の朝練を終えて、着替えのために校舎に戻る。

正面玄関口では、ただいま登校してきた生徒たちで溢れていた。



「…おっ!橘くん、久々!おはよー!」



そんな中、俺を見つけて声をかけてくるのは。

台湾ナマズの椎名先輩だ。

台湾ナマズ…インターネットでは画像が見つからなかった。

今度、図書館で調べるか。



「椎名先輩、おはようございます」

「サッカー部頑張ってるねー!橘くん、今日もイケメン!」

「はぁ…」

「…おっ!林崎だ!おはよー!」



椎名先輩に声をかけられ、気付いてこっちにやってきたのは。

…げっ。ニシローランドゴリラ。

男バスの林崎先輩…。

先日のことがあるからか、ちょっと気まずい。

NTRの件…。



「…おっ。橘じゃん。おはよう」

「お、おはようございます…」