「なに敦斗に頭ペコペコ下げんの?もったいねー」
「あ…」
横から顔がニュッと出てきた。
瞳真くんだ…。
「おいおい瞳真。もったいねーとは何よ。なんかムカつくな」
「キャプテン就任したからって威張らないでくださいー」
「なっ!…威張ってねえよ!…俺、いいキャプテンしてると思うけどな…」
「…まあ、いいか。伶士、行こ」
腰をトンと叩かれる。
顔を上げると、いつも無表情の瞳真くんが少し口角を上げて笑っていた。
「あ、うん」
先に行く彼の後を追う。
置いていかれたキャプテンは「まあいいかって何だよ…」と、呟いていた。
空を見上げると、雲ひとつない秋の薄い青空で。
でも、それに見惚れてしまった。
空が綺麗だと、感じられる。
…俺は、いつから空を見てなかったかな。
こういう風に感じたの、久々なような気がする。
それは、とても清々しくて。
(なんか…幸せだな)
世界がいつもと違って見えるのは、気のせい…ではないと思う。
この数日で、いろいろ吹っ切れたことがあったし。



