お似合い?
ちょっとそれ、照れるじゃねえか。
良い感じ?ホントそんなんじゃねえし。
…今は。
どうなるかは、これから次第だけど。
「と、取り敢えず気にしないで…」
そう言って、立ち去ろうとした…が。
「…でも、謝るのは『なずなの前で恥かかせた』ことだから」
「…え?」
兄貴の意味深な発言に、思わず足を止めてしまう。
「去年のあの彼女の件は…謝らない」
「…え?」
それって、薫のこと…?
兄貴の笑みの裏に、何かどす黒いものを感じてしまって。
何か…恐い。
「…伶士に、あの女はふさわしくない」
「え…?」
「伶士に大切にされているのを知りながら、自分の欲のことしか考えてない女なんて…そんな女、伶士にふさわしい女じゃない」
「あ、兄貴…?」
「…まあ、なずななら伶士のことよくわかってるし?お似合いだから、いいと思うけどね?頑張って」
肩をポンと叩かれ、兄貴はその場を去っていった。
何だ?…今の。
兄貴ちょっと恐かった。
あんな兄貴、あんまり見たことない。
…兄貴は完璧で優秀でも。
実は、大きい闇を抱えてるんじゃないか?
なんて、思わせる表情だった。
っつーか。
そこ、重要事項だぞ?
そここそ謝れ。



