なんて意地汚いヤツだ…!
この肉に対する執着ぶり、病気レベルだろ。
そんなことを考えながらも、トングで肉を引っくり返す。
あともうちょっとだな。
だが、なずなの威嚇は終わらない。
「あははは。安心して?昨日散々飲んだから、今は肉なんて気分じゃないよ?むしろそこにあるおでんかな?」
兄貴は俺となずなの間にあるおでんを指差している。
だが、ヤツはそれでも警戒は解かないらしい。
「…あぁ?そう言って、私を油断させる気か!その手には乗らねえ!だったら、私がこのアツアツおでんをおまえに食わしてやるよ。卵か?ちくわか?…それとも大根か!」
そう言って、傍にあるおでんを箸で摘まみ出す。
ちくわ…!
器も使わずにダイレクトに?!
って、某芸人のネタか!
やぁー!とかいう人たちの?!
「…やめろなずな!汁垂れるし、火傷事件起こる!肉は絶対最初におまえに全部やるから、やめろ!」
思わず、その手を制止してしまった。
いくらなんでも兄貴でも、火傷は可哀想だ。
すると、なずなはムッとふくれる。
「絶対か?絶対か?!この結婚詐欺師には一切れもやるなよ?そのサーロイン!」
「わかったわかった!…ほら、焼けた焼けた!皿出せ!」
「…おおぉぉ!やった!…やった!」
ったく…何なんだ。



