「伶士さま、また男を見せてくださいませ」
「…は?これで?」
そう言われて、忠晴から受け取ったモノとは。
焼き肉用のトングとキッチンハサミ。
「これで、なずなさんにお肉を焼いて取り分けてあげて下さい。日頃の感謝を込めて、男を見せるのです」
「…いや、肉焼くぐらい別にいいんだけどさ」
肉焼いてやるぐらいで、男を見せるって何なんだ?
首を傾げて、トングとキッチンハサミを持って赴く。
ふと見ると、なずなはすでに室内の個室焼き肉スペースに待機している。
「肉!肉!早くー!」と、必死でこっちを見ている。
わかったわかった。
「伶士が肉焼いてくれんの?」
「焼く焼く。待て。待ってろ」
取り敢えず、目の前にあるサーロインステーキを、トングで取って網に乗せる。
ジューッと音が鳴ると、なずなは「おおぉぉ!」と喜んでいた。
「丸焦げにすんなよ?すんなよ?」
「わかってるっつーの」
「お坊っちゃまに肉焼けんの?いつも忠晴さんに焼いてもらってんじゃないの?」
「その言い方腹立たしいな。アウトドアぐらいやったことあるわ。自分で焼いたことぐらいあるわ!」



