彼に駆け寄る花嫁のお腹はふっくらとしていた。
子供…本当にできていたんだ。
『あ!…バカ!走るな!…本っ当におまえはぁぁっ!』
『あっ、あ、す、すみませんっ!』
結婚、子供…。
私はあなたに臨まなかったもの。
だって私、立場をわかってる。
そんなことを言ったら、あなたが困ることぐらい。
でも…心の底で、本当は欲しかったもの…。
(嘘よ…)
嘘。嘘よ。
彼…本当の彼は、どこに行ったの?
どこ…?
私、あなたと一緒いられることが、本当の幸せなの。
あなたへの愛は、本物だよ…?
『…結婚式にまで押し掛けてきて、倅と花嫁に何の用かな?』
『これで、今後うちの倅とは会わないで頂きたい』
…彼の父親が、私のところに来た。
私を結婚式会場で見かけたらしい。
お金まで用意してきた。
こんなもの…いらない!
欲しいのは、お金じゃなくて…彼。
私を愛した、彼。
私の愛した、彼。
あなた程の人なんていないの。
あなたを諦めるなんて…出来ないよ。
涙が、止まらない。



