(本当の幸せ、か…)
「…蓮華の朝露・紅き太陽の恩寵・紺碧の天空…」
なずなの詠唱の声だけが、響いている中。
鹿畑倫子さんの追想というやつを、観客のように見ていたが。
「………」
なんか、複雑。
激しいラブシーンが多い。
そして、親父はクソヤローだな。
映像は、兄貴と瓜二つの若き日の親父だけと。
若き日の頃とはいえ、親父が女とヤッてる映像なんて正直見たくなかった…。
『求めて』と『愛し合う』書かれてる時はだいたいイチャイチャしてるから!
母さんディスってんのも、なんか許せない。23歳天然記念物のフォローは出来ないが。
っつーか、こんなラブシーンばかりの追想なんて…鹿畑倫子さん、エロいの?
「………」
あぁ、母さんが…。
今にも泣きそうな顔で、ぶるぶる震えてる…。
だよな。
過去の話とはいえ、自分の旦那が自分をディスり、他の女と…。
何なの。この時間。
ぶるぶる震えてる母さんの目を、手で覆ってそっと隠す。
「れ、伶士…」
「無理して見なくていいから」
「だ、大丈夫よ!」
手をそっと避けられる。
「お母さん、大丈夫。大丈夫だから…ありがとう」
本っ当に。
大丈夫かよ。
「…深紅の迷宮・象牙の砂嵐・光竜の牙…」
物語は、まだ続く。



