『ホンっト、おまえの作る料理はうめえな?』
もう。大したことないんだってば。
でも…少しの優越感を感じたのは、言うまでもない。
二人でテレビを見ながら食事をして。
少しの話をしながら、寄り添う。
彼は甘えん坊で、すぐにベタベタしてくる。
…これも、ただのお店のお客さんの関係だったらわからなかった。
私だけが知っている、彼。
ここでも優越感に浸ってしまう。
甘えるように、私の体を触って求めて。
唇を重ねて、肌を合わせて愛し合う。
彼の情熱を受け止めて、何度も愛し合った。
凍える寒い日々も通り過ぎて、雪は解け、やがて春の日差しが降ってくる。
外の季節が通り過ぎても、小さな箱の中にいる私達の愛し合う関係は変わらずに続く。
『…ったく、お嬢様で料理どころか掃除もしたことないんだってよ?キレイなだけで、ホント嫌になるぜ』
そんな中で、彼からは婚約者に対する不満を毎日のように聞かされる。
自分の父に対しての不満も含め。
『23歳で男の経験ないって何なんだよ。世の中にそんな女がいるなんて驚いた』
まるで、世の中に抗うかのように。



