よく知ってる人物の登場したその姿に、度肝を抜かれる。
現実か夢か?疑ってしまうぐらい。
な、何で?!
何でここに?!
「…伶士は私達の大切な息子なの!…だからもう、やめて!…やめて下さい!…倫子さん!」
か、母さん…?!
何でここに…?
この戦場となっているこの場所に…何でいるんだ?!
ドレスにヒールで綺麗に召かし込まれたその姿、今はパーティーに参加しているはずじゃ…?
何故か突然登場した俺の母さんの存在に、菩提さんも驚いている。
「奥様?な、何でここに…どうやって?」
母さんはこっちをチラッと見た後、鹿畑倫子さんの変わり果てた妖怪の姿を視界に入れる。
表情を歪ませ、手で口元を覆う。
「あぁ、何でこんなことに…!」
しかし、そんなおぞましい姿を目にしても後ろに逃げることはなく。
むしろ、妖怪の彼女の方へと足を進めている。
な、何で!
「か、母さん!危ない!危ないって!」
その場から飛び出したい思いを抑えて、大声で叫ぶが。
母さんはこっちを向くことはなかった。
…何やってんだよ!



