もし…もしものことがあったら…!
(…痛っ!)
こんな大変な状況の最中、また耳の奥に痛みがズキッと走る。
《…いして…》
声が…。
《…たしを…して》
私を、愛して。
(………)
…こんなに苦しんで、のたうち回って暴走している状況でも。
その想いは、消えないのか…。
なのに、救われないまま、妖怪となって暴走する結果となるなんて。
それは、切ない…。
(…え?…)
背中の方角からバタンと物音がした。
「…やめて!」
最早、惨事となっているこの会場に、何故か突然響く。
ここには俺達しかいないはずなのに?
居ないはずの女性の声が…した。
「…お願い!…もうやめて!」
…え?
足早なヒールの掠る音が響いて、こっちにやってくる。
ロング丈のドレスを振り乱して走ってきて、こっちに姿を見せた。
…え?え?
なっ…!



