「…わっ!」
衝撃に思わず頭を抱えてしまう。
しかし、バチッと電気のショート音が聞こえたのみ。
菩提さんのいう結界が盾となって、爆発には巻き込まれることはなかった。
「伶士くん、俺から離れないで」
「は、はいっ…」
しかし、そんなやり取りの最中に、その結界にドンッ!と何かがぶつかって衝撃でゆれる。
(あ…)
目の前には…手だ。
あのバカデカい手。
のたうち回るように、こっちに手を伸ばしては、結界に何度も体当たりしてきている。
その度に、結界は揺れて衝撃だけは伝わっていた。
恐らく、なずなが姿を消してターゲットがいなくなったから、こっちに攻撃対象を変えたのだろう。
「くっ!…なずな!何してるんだ!暴走しきったら止められないぞ!」
そう怒鳴って、菩提さんは再び印を結んでブツブツと真言を唱え始める。
結界に襲いかかるその衝撃に耐えながら。
(なずなっ…)
爆発の煙に撒かれて、さっきからなずなの姿が見えない。
まさか、さっきので本当にやられたんじゃ…?
そのもしもの結果に…不安が募る。



