俺のボディガードは陰陽師。


こんなのって…。



親父への叶わない想いを利用され、オモチャのように操られて。

こんな妖怪に変えられてしまって、死んでも成仏出来なくて。

挙げ句の果てには、もがくほど苦しめられて。



こんなのって、ねえよ…。



握る拳に力が入って、震える。




そんな苦しみにのたうち回るかのように、妖怪…いや、変わり果てた姿の鹿畑倫子さんは、次々と無数の手をあちこちに振り回す。

天井や床、壁、あちこちに打ち付けて、その度に大きな悲鳴をあげていた。




「…ちっ!振り出しか!…も一回、睡蓮華…」



そう呟くなずなに向かって、一心不乱にのたうち回る手のひとつが降ってくる。

「ちっ!」と舌打ちしながら、それを後ろに飛んで回避する。



だが、なずなの目の前には、あの黒い羽根が空中をゆっくり舞っていた。



「やべっ…!」



その羽根は、なずなの目の前で急に激しく爆発する。

あっ…!



爆風に煽られて、なずなは吹っ飛ばされて遠くへとゴロゴロ転がっていった。



「…何やってる!前をよく見ろ!…ちっ!」



俺達の目の前にも、その羽根は浮かんで舞っており。

またしても、同様に爆発し出した。