自分のものぐらい、自分で置かせてくれ。



この金持ちライフにも嫌気が差してくるポイントではある。

しかし、忠晴だって仕事でやってるんだ。

とやかく言うのも可哀想かなと思い、何もコメント出来ず。




忠晴に連れられて食堂に顔を出すと、すでに父と母が食事をしている。

ドでかいテーブルの上座には旦那様と呼ばれている父。

その傍には、角を挟んで母が座っていた。



「おはよう、伶士」

母が気付いて顔を上げる。

「…おはようございます」

「あら、何だか顔色が悪いわね。疲れているの?」

「いや、別に。大丈夫」


でも…ここんとこ、部活が忙しいからだろうか。

確かに、ちょっと疲れが溜まっている。

大会予選が始まるから、夏休みの終わり頃から練習の嵐だったし。

夏バテでもしてるのか。



そんな会話を母と交わすと、新聞に目をやっていた父が顔を上げる。



「サッカーが楽しいのは大いに結構だが、何事も体が資本だぞ?最近の若者は貧弱で、24時間戦えないからな?」

「24時間…」

…戦う必要、ありますか?

労働基準法に引っ掛かりそうな発言だ。


「まあ、休養も大事だ。ということを父は言いたい。うまく休養を取れ」

「はいはい。わかってるよ」