妖怪の周りを囲うように、またそのデカい図体を潜り抜けて、レーザー光は地を這い続ける。
そして、轟音が鳴り止んだ時。
妖怪の体を中心に。
地には、光の線で描かれた…華の絵が。
まるで、妖怪が華の上に乗っているかのように…。
「乱れ咲け…『睡蓮華』」
なずなの発した言葉が合図だったのか。
反応したかのように、線から大量の光が帯のように噴き出す。
それはあっという間に、妖怪の体を無数の手をも含めて、一気に覆って取り囲む。
ギュッと凝縮させるかのように、締め上げていた。
《ギゃァアああぁァアァアぁぁーッっ!!》
ここ一番の妖怪の汚い悲鳴が響く。
攻撃のダメージの大きさを物語っているような。
「………」
悲鳴が響く中。
なずなはそれを、黙って見上げていた。
気難しい顔をして。
(…痛っ!)
響き続けるその悲鳴が、あまりにも大きく耳障り過ぎて、耳の奥がズキッと痛む。
思わず、耳を塞いでしまった。
しかし。
塞いた耳の奥で、微かに聞こえた。
《…す…テ…》
(…え?)
今…。



