「…やはり『神の力』と言われるだけあって、霊力は何倍もの増幅、それによってスピード、パワーも増強されるんだ」
「………」
こう話している間にも、なずなは妖怪と対峙している。
仇なす敵を捕まえようと、無数の手がなずなに次々と掴みかかろうとする。
それを、あの人間離れした俊敏な動きで避わし、次々と襲いかかる手に次々と飛び乗って進む。
回避の最中、たまに飛び道具を出現させる。
「…白蓮華!」
右手で白い光の蓮の華を作り、徹底的に頭と体幹を狙って、投げ込んでいた。
この技、パイ投げに見えて仕方がない。
「…霊力倍増状態だから、大技も真言詠唱せずに繰り出すことが出来る。このタイムロス解消は大きい」
「なるほど…」
だから、さっきからカタカナの呪文言ってないのか。
「これは、凶悪な妖怪や戦闘能力が高い相手にはだいぶ有効でね?だから凶悪犯係」
「はぁ…」
菩提さんの後ろに隠れて、漠然とそのバトルを見守っていたが。
なんか…無数の手たちの動き、遅くなってる?
なんというか、よれよれでキレが無くなっている。
なずなのスピードに、大幅に着いていけてない。



