…まさかとは思っていても。
その姿を視覚で捉えると、やはり衝撃的だ。
『…さすが、察しも良いね?』
サラリと靡く、細く黒い髪。
上下白い服を身に纏った、その細身の体。
見た目も、そのものだった。
まさか…夢で見た人と。
現実で出会うなんて…。
この信じがたい出来事に、ただ驚いていたが。
傍では、なずなが低く落とした声で呟く。
「…黒翼『リグ・ヴェーダ』…」
なずなと男性。
二人の視線が重なってひとつになるが。
互いが飛ばしている空気が…違う。
男性は、涼しい顔で笑みを向けているが。
なずなは…表情が険しくなり、目付きが鋭くなっていた。
そんななずなを見て、男性はフフッと笑う。
「僕の仕業だと、どの時点でわかったんだ?」
「………」
そう言われて、なずなは無言で静かにポケットに手を入れる。
警戒しているのか、彼から視線を外さない。
「…これだよ」
ポケットから取り出して、握った拳をゆっくり広げる。
開いた少しの風で、フワッと舞った。



