「うふふ。ただいまなずなさん。今日は夕方にパーティーあるから早めに上がってきたの」
「出た。金持ち必殺パーリー」
「この世界お付き合いは大事なのよ?今日は私の同郷のサヤマグループの奥様が主催のパーティーなの。サヤマグループ福岡進出のささやかなパーティーよ?」
忠晴に着ていたコートとバッグを預けながら、母さんはそう話す。
「へぇー。どこでやるんですか」
「トゥイットラグジュアリーホテルよ?中島公園にあるの」
「へぇー。しゃちょーも行くの?」
「ええ。仕事終わったら向かうって」
トゥイットラグジュアリーホテル。
オガサワラリゾート、麗華さんとこの老舗ホテルか。
昔、何度か行ったことあるな。
「愛璃お嬢様が伶士に会いたがっていたみたいよ?伶士も来ないかって言ってたみたいだけど、部活で忙しくしてるみたいって言っておいたわ?」
「…部活暇でも行かない」
ったく。
なずなじゃねえけど、ホント必殺パーリーだな。
パーティー好きじゃないんだよ。
「まあ、伶士は体調不良だから。今日はゆっくり休んでてね」
「そうだ。…そういうワケで、伶士。サスペンスドラマの再放送見よー!」
ったく、なずな。
おまえ、本当にグータラ主婦なんじゃねえだろな。



