うわっ…!
「…おまえ!部屋に入る時はノックぐらいしろ!」
「…あー。ごめんごめん。…それよりワイドショー見よー!4チャンほくチャンに変えてー!」
「それよりって何だ!」
しかし、なずなは話を聞いておらず、テレビのチャンネルを勝手に変える。
ったく、大事なことだぞ?
…こんなやり取りも、当たり前になってきている。
「ワイドショー面白いんだよなー。全国の主婦の皆さん、毎日見られてうらやましー」
なずなはそう言って、テレビを見ながらペットボトルの蓋を開けて口をつけている。
…あ、レモン炭酸水じゃない。
ほうじ茶ラテ?いつもと違う。
「…あー。このほうじ茶ラテ、不味くはないんだけどなー。でもやっぱ、咲哉くんの作ったほうじ茶ラテが一番うまーだわ」
「…咲哉さんって?…あのカフェの?」
「うん。ペンタグラムの学生アルバイトさん。ドリンク作るのめちゃうまなんだよ。フードもめちゃうまだし」
「フード?」
「うん。肉ランチ。いろんな肉料理考えてくれるー。さすが調理師のタマゴ」
「とことん肉か」
この任務が終われば、なずなはここからいなくなる。
ずっとこんな状態、続くワケじゃないのに…。



