「話が逸れたので、戻しましょう。…鹿畑倫子さんの生き霊が、社長ではなく伶士くんに執着した理由、もうひとつ」
菩提さんは、指を二本立てる。
「…それは『第三者の介入』です」
第三者って…?
予想もしない発言で、意味がわからずに頭がこんがらがってしまう。
しかし。
この場でわかってないのは俺だけのようだ。
「第三者?…バックに術者がいるというのか?!」
驚いているのか、親父の声が大きくなっている。
親父…この世界の話、ちょっとわかってんのか?
俺、全然ピンとこないのに。
「その可能性は大いにあります。術者の特定はまだですが」
「可能性は大いに…じゃない!そこはクロだ!…この事件は、どっかの誰かがこの生き霊を煽ってんだよ!」
「なずな?」
そこへ、なずなが突然話に割って入る。
なんとも不服そうな真顔で。
「この件、どっかおかしいんだ。最初の家での襲撃は、生き霊の行き過ぎたイタズラだとは思うけど、どちらかと言えば、あり得ない」
「あり得ないって…?」
「…本来、人間の生き霊ってのは、だいたいがカタチがない。ただのオーラなんだ」
「オーラ?」



