俺に一喝飛ばして、更に親父は、その怒りを堪えたような顔で詰め寄ってくる。
「…あるんだよ誘拐未遂!おまえに関しては何度も何度も!指で数え切れないぐらいなぁ?!この!」
「え、えぇっ!」
「『知らないおじさんには着いていくな!』と口を酸っぱくして何度も言ってるのに、『おじさん、お父さんの知り合いなんだ?』と言われて簡単にコロッと信じて、おまえは着いていくんだ!何度危ない目にあったか!」
「は…はぁっ?!俺、そんなバカじゃ!」
「いや、バカだったんだおまえは!ガキの頃から曲者だった頼智と違って、おまえは素直で純粋すぎる!だから危なげなんだっていつも言ってるだろうがぁっ!」
「そんな、危なげって!」
「おまえは儚くて危なげなんだよ!…だから、セキュリティ設備の低い公立高校になんて入れたくなかったんだ俺は!」
そ、そんな…!
俺、バカだったのか?!
…ではなく。
だから、いつも『危なげ』と言われてきたのか…俺。
公立高校受験反対の理由も、そこ…?
しかし。
その俺的に無自覚な、誘拐未遂で。
俺と鹿畑倫子さんは、接触していたということ…か?



