なるほど…すごい洞察力だな。
おまえは刑事か。
もしくは探偵?
しかし、でも…という疑問もある。
それは、親父が口にした。
「…相変わらずの捜査っぷりだな。おまえらは。…だけどよ?何で倫子は今の歳とった姿ではなく、この若い時の姿で登場したんだ?…それに」
今一度、俺の方を見る。
「…何で、倫子は伶士を襲ったんだ?怨みつらみのある俺ではなく、頼智でも他の誰でもなく、何で伶士なんだ?」
「そこは社長、それは生き霊の特徴にあります」
「生き霊の特徴?」
「生き霊とは、生きている人間の思念体からなるものです。何か特定のモノを強く想うあまり、それが思念体となり生き霊が出来上がる。無意識に」
思念体?
その本人の強い想いが、無意識に生き霊を作るのか。
「彼女、鹿畑倫子さんにとっては、この時代に抱えた社長への想いが強かったのでしょう。…だから、無意識にその当時の姿で登場したと考えられます。生き霊にはよくあることです」
「…そうか」
「生き霊に理性はありません。だいたいは本能で行動するものです。そして、本能で行動するなら、迷わず愛を求めた社長のもとへと行くでしょう。…ですが」
「ですが?…何だ」



